一般に船釣りは、釣りの玄人というイメージがあるが、それは昔の話。
確かに一昔前は、
漁師上がりの気の荒い船長に怒鳴られながら釣りをするマニアックな世界だった。
だが、世も変わり船宿も変貌をとげた。
船釣りのよさはどこにあるのか。
それは、船長が魚のいるところに連れて行ってくれるのである。
ハイテク魚探を駆使し、
長年の経験と「海の男の勘」で釣れるポイントを探し出し、釣らせてくれるというわけである。
実は、この船に乗るのはこれで3度目。
(釣り船内木の読みは「ナイキ」が正解でした)
顔を覚えてもらった「中乗りさん」の上杉さんと以下のような会話をした。
ちなみに「中乗りさん」とは、船上で釣り人のお世話をする人。初心者にも教えてくれる。
大概は釣りの名人だと思って間違いない。
上杉さん「釣れてるよ。うまい人は50ぐらいはいくんじゃない?」と釣況を教えてくれた。
筆者「50尾?。困ったあ〜。そんなに釣れたらどうしよう」
上杉さん「はは、あんたは心配する必要ないよ」
筆者「……」
まあ、いい。
とにかく、朝の7時に船は出港した。
実は東京湾は、豊穣の海なのである。
大体魚屋に並ぶ魚はほとんど釣れる。
一時期、ヘドロなどで汚れてしまい「死の海」になったこともあるが、
現在は魚も戻り普通の海へと回帰した。
よく「東京湾で釣れた魚は食べられるのか?」と聞かれるが、全然問題ない。
中国製ギョーザより安全なのだ。
船は1時間と少しで東京湾を突っ切って横浜辺りのポイントに到着。
船上に船長のアナウンスが流れる。合図で仕掛けが一斉に海に飛んだ。
仕掛けというのは魚を釣るための針と糸の組み合わせをいう。
今回は15号の錘をつけた「胴付き仕掛け」という仕掛け。錘も仕掛けも船で買える。
餌はモエビとドジョウ。ドジョウはカサゴが食ってくるしエビにはメバルが食ってくる。
魚は、海底の岩礁に潜んでいるため、
錘が底に着いたら糸をピンと張りそのまま食ってくるのを待てばいい。
女子供、健康なら年配の方だってできちゃう簡単な釣りなのである。
さて、ここで携帯を取り出す。
「地図アプリ」を起動。現在位置を出しGPSを更新。そして、この場所を登録。
メバルとカサゴのポイントをゲット〜!。
これで、船宿の秘密のポイントを暴き、
「自分だけの釣り地図」ができるってわけだ。ワーハッハッハ! どうだ、すごいだろう。
ちなみに東京湾の海の上は携帯の圏内。十分通話もできるし、メールもできるのである。
ブル、ブルルと魚が食ってきた感触が手に伝わった。
これが…、イイ。
すごく、、、イイ。
心臓がドキンと高鳴る!。
「キタ〜!。目薬どこだ〜!」というボケにだ〜れも反応してくれず、
ちょいと寂しい思いをしたが立派に釣り上げたカサゴは30センチほどの大物だ。
さあ、次だ次! また、ブルル。
今度はメバルをゲット。
メバルゲットで一人悦に入っていると、突然、トモ(船尾側)の方で歓声が上がった。
押っ取り刀でいってみるとなんと「カマス」が釣れているではないですか。
「誰だ! こんなギャグをカマスやつは!」
…無視された。 もう、やめよっと。
ところで、魚はずっと釣れているわけではない。
やはり自然のもの。
どんなにいいポイントでも、釣れることもあれば、釣れないこともある。
魚がいるのに餌を食べたり食べなかったり。
潮の流れ、濁り具合などその原因は様々あるが、ようは魚の機嫌次第。
そんな状況でもやはり釣れる人は釣れて釣れない人は釣れないのだ。
これが、腕の差というもの。
その腕だが、魚にアピールするような餌の動かし方(「誘い」という)や仕掛けの工夫など、
これはもう経験を積むしかない「神の領域」なのである。
船長は、腕に関係なく全員が釣れるポイントを探して海の上を転々と船を走らせる。
そのたびに携帯の「自分の釣り地図」には登録ポイントが増えていく。
午後2時過ぎに沖上がり(終了)。
再び1時間以上かかって朝の桟橋に帰着した。
全員重くなったクーラーと、少し凛々しくなった海の男オーラを纏って家路に着く。
聞いたところでは竿頭(一番釣った人)は55尾という。かなりの豊漁だ。
釣り船内木
桟橋住所 船橋市高瀬町21
電話 047(429)1354
船長携帯 090(2209)1378
釣り物、時間、料金は問い合わせのこと。
http://www.geocities.jp/naikimaru/